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謡曲 『柏崎』 梗概
柏崎では独り淋しく留守居している奥方が、都の空を懐かしみつつ、只管(ひたすら)に主の帰国を待ち侘びて居る。
そこへ小太郎が帰って来たというので、大いに喜んで之を迎へ入れるが、仔細を語る小太郎の言葉を聞いているうちに、次第に胸がふさがり、涙に暮れて行くのであった。
遣わした文をよむにつけ、形見の品をみるにつけ、奥方の悲しみはいやまさりて、遂に狂はしくなって、何処ともなく迷い出でたのである。
爰(ここ)に信濃の国善光寺の住僧は、幼き弟子を連れて毎日如来堂へ参詣していると、ある日一人の狂女が来てお堂の内へ入ろうとするので、之を拒もうとすると却って仏説を述べて僧を驚かし、夫の遺品を寄進するといって、烏帽子直垂を取り出し、猶(なお)夫の在りし昔を偲びて舞をまい、果ては我が子の行方を案じつつ、願いを叶へてたべと、御堂に手を合わせて夜念仏を唱えるのであった。
幼き法弟がこの厭わしい狂女をみていると、正しく自分の母親の哀れな姿なので、ここに花若と名乗りかけ、互いに再会を喜び合うのである。