遍澄和尚の案内で
乙子神社境内の空庵に入る良寛
五合庵の生活が一番だと言っている良寛さんでしたが,
毎日の薪集めや水汲みの苦労は傍目(はため)でみていても
気の毒でたまらなくなってきました。
一緒に暮らしている遍澄にすればなおさらのことです。
五合庵に固執する良寛さんを熱心に言い聞かせ、
人里近い乙子の空庵に移り住むことを勧めました。
そうして、ようやく納得させることができました。
あしびきの
国上(くがみ)の山の 山かげの
森の下やに 幾としか
我が住みにしを 唐ごろも
もちてし来れば 夏くさの
思ひしなえて 夕づつの
か行きかく行き そのいほの
かくるるまでに その森の
見えずなるまで 玉鉾(たまぼこ)の
道のくまごと 隅(くま)もおちず
かへり見ぞする その山の辺を
「隠れて生きる」をモットーとしてこの五合庵で生きてきた良寛さんは、
後ろ髪を惹かれる想いでここを立ち去りました。
そんな悲しい姿が目に浮かびます。
何度か後ろを振り返ったことでしょう。
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