与板の酒造家山田屋の主人杜皐(とこう)は 趣味の俳句や絵画を通して、 良寛さんと大変仲のよい友達でした。 良寛さんはまた、 この家のお手伝いさんの「およし」さんとは 互いに冗談を言い合うほどの、 気の許せる仲でもありました。 夕方になると決まったように 酒を無心にくる良寛さんをつかまえて、 「ホタル」と呼んでいました。 遍澄和尚は良寛さんによって この人達にも紹介されていたことでしょう。
およしさ(酒造家山田杜皐(トコウ)一家に使える女)によみておくる かしましと面(オモテ)伏(フ)せには言ひしかど此頃見ねば恋しかりけり くさむらの蛍とならば宵々に黄金の水を妹(イモ)たまふてよ 身が焼けて夜は蛍とほとれども昼はなんともないとこそすれ およしに与えた手紙 此ぬのこ一枚此度御返し申候 寒くなりぬ蛍も光なしこがねの水たれかたまはん 閑美難都起(カンナツキ) ほたる およし散 山田屋
およしに与えた手紙 此ぬのこ一枚此度御返し申候 寒くなりぬ蛍も光なしこがねの水たれかたまはん 閑美難都起(カンナツキ) ほたる およし散 山田屋