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語り継ごう柏崎の知恵ぶくろ (2)
柏崎に伝わる「昔話・伝説」が今や忘れ去られようとしています。おじいさんおばあさん、両親から子へ孫へ、 そのまた次の代へと語り継いでいきたいお話です。 祖先の温かい思いが伝わってくるように思います。
眠ったような静かな海が、突然二つに割
れて、へさきに龍のほりものがある美しい
船があらわれた。船の中には、美しいお姫
様が乗っていた。「コロリンコ、コロリン
コ」と玉をころがすような美しい音楽が、
船の中からしてきた。七色に色どった美し
い船は、「ぎいっぎいっ」と鵜川をこぎの
ぼっていった。
いつの間にか、たくさんの鵜が船のまわ
りに集ってきた。川は清水谷という所でな
くなり船は空中を「ぎいッ、ぎいッ」とこ
いでいった。今でも黒姫山には、その船の
通った船道があるそうだ。また黒姫山の帆
柱岩は、そのときの船の帆柱だと語り伝え
られている。
黒姫山には、姫が倉というほら穴があり、
鵜川から山に登って来た船は、そのほら穴
の中をこぎ進んで、やがてみえなくなった。
そして、そのときから姫の倉の中から、
「トンカラトン、トンカラトン」と機を織
る音が聞こえてきた。「そら、織り姫さま
が、機を織ってござらしゃるぞ。」
村の人たちは、姫が倉に入れられたお姫
さまを織り姫さまと呼んだ。
織り姫さまは、春には、すきとおるよう
な緑の薄絹のべールを織って、山にかけた。
「トンカラトン、トンカラトン」
秋には燃えるような赤い糸や、きらきら輝
く金の糸で、目のさめるような錦を織って
山一面にかけた。「トンカラトン、トンカ
ラトン」「今年も織り姫さまは、真っ白い、
はぶたいを織られたな。」信心深い村人は、
銀の雪山を見て、そう言い合った。
以上 柏崎市老人クラブ連合会 編集・発行 「語り継ごう柏崎の知恵ぶくろ」2003/7/31より <<前頁へ | 次頁へ>>
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2006/4/18 UP 作成: NET・陽だまり