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語り継ごう柏崎の知恵ぶくろ (2)

 ■4章■ 伝説・昔話  

柏崎に伝わる「昔話・伝説」が今や忘れ去られようとしています。おじいさんおばあさん、両親から子へ孫へ、 そのまた次の代へと語り継いでいきたいお話です。 祖先の温かい思いが伝わってくるように思います。

▲ 八石山(北条) ▼

挿絵八石さん

  八石山は、昔大仏山と呼ばれていた。
 北条村に二人の子供がいた。
 兄はなくなった母親の子で、弟は今の母親の子だった。今の母親は、弟ばかりをかわいがっていた。
 ある日、母親は子供達に
「今日は大仏山の畑に豆をまいて来なさい」と言って、兄には炒ったた豆を、弟には生の豆を持たせた。
 二人が大仏山の畑に豆をまいてから、十日ほどたったある日。
「もう豆は芽を出したころだろう。行って見よう。」と母は二人の子供を連れて、畑にやって来た。
 弟の畑には青々と豆が芽を出していたが、兄の畑は、ひとつも芽が出ていなかった。  母親は、
「お前は豆をまいたのかえ。このなまけ者のろくでなし。」と、にくにくしげに言いながら、杖で兄を打った。
 その時、兄は、たまらなくなって、涙をポロリと落とした。その涙が土にしみこむと、むくむくと土がもり上がり、一本の豆の芽が出て、すごい勢いで伸びてきた。
 豆の木はグングン伸びて、雲にとどくほど大きくなり、大枝、小枝がしげり、枝がたれさがるほど沢山に豆がなった。
そして、風に吹かれて、パラパラと降るように豆が落ちてきた。驚いて見ていた三人は、あわてて豆を拾い集めた。集めた豆を、家に運ぶのに、三日三晩かかった。計ってみたら八石(千五百リットル)もあった。
 たちまち、このことが村中の大評判になり「たまげたもんだ。一本の豆の木に八石も豆がなったてんがのう。」
「きっと死んだ前のおっかさんが、ならしてくれたんだろうて。」
「そうとも、そうでなけりゃ、一本の木に八石も豆がなるはずがねえ。」
このことがあってから、村人は、大仏山を八石山と呼ぶようになった。
 そしてこの母親は、「わたしが悪かった」と、それから二人の子供をわけへだてなくかわいがったとさ。

以上 柏崎市老人クラブ連合会 編集・発行 「語り継ごう柏崎の知恵ぶくろ」2003/7/31より    <<前頁へ | 次頁へ>>


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2006/4/18 UP 作成: NET・陽だまり
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