歩きに歩く良寛(15/100)
貧しい衣服をまといながら、托鉢のため野を越え山を越えて近村近隣をゆく良寛さん。
歩きながら何を考え何を思い何を願いながら歩いていたのでしょうか。

   多々和々(嬰児語)誰か識るを許さん、騰々兀(こつ)々歩々之(ゆ)く

黙々として歩く良寛さん。歩きながら学び、学びながら歩み続ける良寛さん。
真実(まこと)の道を捜し求めて、歩きにあるく良寛さん。

貧者の一灯(16/100
毎日毎日の糧(かて)をお願いしていただかなければ、どうしてこの飢えを凌(しの)ぐことができましょうか。つくづく考えてみるに自力で生きていく力は全くないのに気づくのです。
時々は詩を書いて知人友人におくり、わずかにお礼をいただいては、この空腹をうるおし、やっとこさっとこ生きている。

  斗升の米を乞わずんば 
  何を以てかこのときを凌(しの)がん。
  静かに思うに活計なし、
  詩を書して故人(知友)に寄す。

この頃になってやっと、良寛さんの「詩」や「書」が少しずつ認められるようになってきました。
良寛さんは托鉢のためには、どんな遠い所でも出掛け、どんなところでも宿を求めました。
しかし決して同じ家に二泊以上はしませんでした。
特に晩年になってからは滅多に外泊することはなかったと言います。それというのもひたすら家に籠(こ)もって読書と詩作に没頭していたいからです。

雨の日の良寛(17/100)
毎日、托鉢に回らなければその日の食事もままならないのに、今日此の頃のこの長雨には全く困ったものだ。窓辺に寄り添って恨めしそうに雨空を眺めては嘆息する良寛さん。

   雨の降る日は哀れなり良寛坊

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